【舌下免疫療法】スギ花粉症・ダニアレルギーの治療
アレルギー性鼻炎とは?
✅ スギ花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)
スギ花粉が原因により、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の痒みなどのアレルギー症状が起きる疾患です。 スギ花粉症の患者は年々増えており、2019年の調査では日本人の38.8%、ほぼ3人に1人がスギ花粉症であると推定されています。
✅ 通年性アレルギー性鼻炎
ダニやハウスダスト、真菌(カビ)、昆虫、ペットの毛などが原因となり、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の痒み、
喉や皮膚の痒みなどの症状が季節を問わず1年中あらわれる疾患です。
2019年の調査では日本人の24.5%が通年性アレルギー性鼻炎という結果でした。
日本の気候と住居はダニの繁殖に適した環境であり、特に夏から秋にかけて症状が悪化する傾向があります。
アレルギー性鼻炎は全体として国民の約4割が罹患する罹患数第1位の疾患であり、その数は年々増加傾向です。
アレルギー性鼻炎の症状により、集中力や思考力が低下し、生産性を低下させることが示されています。
日々の学習や受験勉強、お仕事に支障が出ないよう、しっかりと治療を行うことをおすすめします。
アレルゲンに対する舌下免疫療法とは?
アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から舌の下に投与することで、体をアレルゲンに慣らし、 スギ花粉症やダニアレルギー(通年性アレルギー)の症状改善が期待できる治療法です。
✅ 舌下免疫療法の特徴
- 舌下免疫治療は保険診療です。
- 原因となるアレルゲンを確定するため、事前に採血での確定診断が必要です。
- 自宅での服薬治療が可能です。
舌下免疫療法の効果
(1)アレルギー性鼻炎(鼻水、くしゃみ、鼻づまり)の改善
(2)新規感作の抑制(現時点で発症していない他のアレルギー発症を予防)
(3)喘息発症の抑制
(4)スギ舌下免疫治療はヒノキ花粉症にも約半数で有効
(5)治療終了後も治療効果が持続
長期にわたりアレルギー症状を軽減する可能性のある治療です。 症状を完全には抑えられない場合でも症状を緩和し、症状を抑えるための投薬を減らすことが期待できます。 8~9割の方に効果があることがわかっています。
舌下免疫療法の対象となる方
採血検査でスギ花粉症もしくはダニアレルギーと診断された5歳以上の方
※重症高血圧、気管支喘息などの呼吸器疾患、悪性腫瘍(癌)、免疫不全、妊娠中の方は治療できない場合があります。
舌下免疫治療の治療の流れ
1️⃣ アレルギー検査・診断
過去にアレルギー検査を行ったことがなければ、まずは採血でアレルギー性鼻炎を確定診断します。
※他院での採血結果をご持参いただければ、当日から治療を開始できます。
2️⃣ 院内で初回投与
副作用が出ないことを確認するため、初回のみ院内で投与し、30分間観察してからの帰宅となります。
3️⃣ 1週間おきに通院して経過観察
初期は副作用がでないか慎重に経過をみるため、1週間おきの通院が必要です。
4️⃣ 1ヶ月おきの長期処方開始
問題なければ長期処方(1ヶ月分)となります。
治療期間はおおよそ3~5年です。長く続けることで効果は高まっていくため、長期間治療する方もいらっしゃいます。
- スギとダニの治療を同時に行うことが可能です。両方にアレルギーがある方は併用をおすすめします。
- 今後、受験や社会人生活を迎えるお子様には特に早めの治療開始をおすすめします。
副作用・注意点など
主な副作用は口内炎、舌の下や口の中の腫れ、のどや耳のかゆみです。 これらの症状は初期に出現しますが、軽度あれば治療を継続することで次第に軽減していくことがほとんどです。 重大な副作用として蕁麻疹や嘔吐、アナフィラキシーショック(血圧低下)がありますが、報告例はほとんどありません。
- スギの舌下免疫療法は花粉が飛んでいない5月~12月に治療を開始できます。
- スギ・ダニの舌下免疫治療を同時には開始できませんので、少なくとも1ヶ月は治療の間隔を開けて開始します。
継続することで効果を発揮する治療ですので、通院が困難な月は多少早めの受診でもお受け致します。
薬を飲まない期間ができないようにすることが治療効果の上昇につながります。
